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0004:頚椎症の場合、何を気をつけるの?〜脊椎と脊髄神経の病気

脊椎・脊髄外科]田宮 亜堂 医師
(2019/10/01 更新)

「頚椎症」では、何故神経の損傷が起きるのか?

脊髄神経は水の中に浮いている

脊髄神経は脳と同じように脳脊髄液と呼ばれる液体の中に浮いています。これは、打撲や転倒などで衝撃を受けても、周囲の骨からの衝撃が直接神経に伝わらないようにするためです。しかし、頚椎症の人は首の骨や周囲の組織が、直接脊髄神経に当たっているのでちょっとした打撲や転倒でも重い症状を出すことがあります。

神経は一度損傷すると治らない

神経は非常に弱いものであり、また一度傷がついてしまうと治らないので後遺症として症状が残ってしまいます。ですので、転倒や頭部打撲などの軽微な外傷でも、四肢麻痺(脊髄損傷)になる可能性があるのです。

また手指巧緻運動障害や歩行障害が進行している場合は、すでに脊髄神経の損傷が起きていて、治療をおこなっても改善に乏しいことがあります。早めの治療を必要とするのは、脊髄神経が強く圧迫されて危険な状態にあるからということを理解していただきたいと思います。

「頚椎症」と診断された場合、日常生活で注意することは?

ちょっとした事故も危険

乗車中の追突事故、電車やバスでの急ブレーキによる衝撃には十分に注意しましょう。乗っているときだけでも、安全のために頚椎カラーをつけておくのもいいです。

また人混みの中を歩くときや周りに子どもがいるときは十分に注意しましょう。突然人がぶつかってきたり、子どもが急に抱きついてきたりしたときに首をいためることがあります。

あごを挙げる動作には注意を

頚部を後屈すると(あごを挙げるような動作)、脊髄神経が強く圧迫されます。電球を替えたり、高いところの物をとったり、洗濯物干しは他人にお願いする方が安全です。

美容室での洗髪や歯科医での治療の際には、頚部の後屈をしないように十分に注意してください。している最中に手がしびれるなどの症状が出た場合には、がまんせずにすぐに首の位置を変えてください。あらかじめ首が悪いことを言っておくことも、大事なことです。

枕の高さも問題?

普段使っている枕の高さも、仰向けであごが挙がるようなものだと神経に負担がかかっている可能性があります。低すぎることが問題ですが、一方で高すぎても呼吸しづらくなり、良質の睡眠がとれない場合があります。寝ているマットの硬さの問題や腰痛とのかかわりもあるので、一概にどのような枕がいいとは言えませんが、手の症状などの変化に気を配って枕を変えてみるのも一つです。